SLE 全身性エリテマトーデス・自己免疫疾患と圧痛点

Lupus eritematoso sistemico (LES) : Moxa e mappa dei punti doloranti

20年前に発症、頭髪が抜けはじめ(皮膚症状なし)、倦怠感・食欲不振・易疲労感・炎症(関節の痛み、日によって変わる)など複数の症状から、大学病院受診、全身性エリテマドーシス(SLE)と診断された。

一生付き合う病気と言われステロイド剤、消炎鎮痛剤による治療がはじまるが寛解と再発を繰り返してきた。ステロイド剤、消炎鎮痛剤からの離脱を願いながら、主訴である関節の痛みを訴えて灸文を訪れた。

 

病気発症前の生活を尋ねると、患者は長時間労働、徹夜を頻繁にくりかえした果てに症状が現れたというのです。原因ははっきりしています。

甲状腺ホルモンは私たちの元気とつながっている、甲状腺機能亢進はガンバリ過ぎた人の病気と言われています。事実患者は甲状腺機能亢進症も併発していたのです。

関節の痛み(変形はなし)は手足指、手首、膝、肘、肩、股、顎,頚椎に及ぶ、その他全身に痛みがあらわれる、また咳がはじまると止まりにくくなるという。

患者の訴える痛みの部位から圧痛点を選択し、経穴1点と知熱灸の組み合わせ、圧痛点経穴灸法の鎮痛効果は患者に驚きと喜び、笑顔をもたらす。同様のことは他の膠原病(慢性関節リウマチ)治療にも共通してあらわれる。

治療が進むに伴い当初見られた腫れや発赤(炎症)はなくなり、激痛の再発や関節痛の部位も激減し、食欲がもどり、体温も上昇し、体調の良さを感じるようになる。

ステロイド剤を長く使用してきたため、低体温(35度半ば)による体調不良を抱えていた。治療開始1ヶ月あたりから体温上昇(午前中から36度半ば)が伴うようになり、体調の良さが持続し一生付き合う病気と言われ、20年近く治療を続けてきて「治る」という実感が初めて湧いてきたと言う。

 

治療は知熱灸(圧痛点経穴灸法)

痛みや症状を訴える部位から圧痛点を選択したのち(圧痛点の症例分布図)、経穴1点を選択し知熱灸を施術します。

膠原病患者の抱える激しい痛みへのお灸(知熱灸)の鎮痛効果は関節であれ筋肉であれ、部位に関わらず直後に現れます、治療継続とともに、痛みの激しさも和らぎ、再発頻度も減少します。繰りかえす突発性の激痛は大きなストレスとなり、治癒回復への大きな障害になります。突発性の激痛、痛みに対し予約なしに気軽に治療が受けられる治療所の存在は患者の最大のストレス(不安、恐怖)を解消します。

知熱灸直後の圧痛点の変化(痛みの解消)により患者、鍼灸師双方が鎮痛効果を確認できます。

圧痛点、経穴、知熱灸はそれぞれが副交感神経を刺激し、血流が促進されます(血管拡張)、血流促進は体温上昇を伴い代謝が亢進し組織修復が進み自然治癒力が高まります。

 

圧痛点経穴灸法により起こる体の反応や変化

⚫圧痛点により痛みや症状の部位やポイントを明らかにする

⚫圧痛点の選択はしばしば蠕動運動を誘発する、蠕動運動により胃や腸に入った食べ物の消化吸収、排泄という一連の反応が促進される。蠕動運動は副交感神経が調節し慢性便秘、慢性胃腸障害、その他すべての慢性病からの回復も誘導する。

⚫圧痛点は局所での副交感神経反応を起こす(血管拡張による血流促進、蠕動運動など)

⚫選択した経穴への知熱灸施術直後にすべての圧痛点が同時に解消し、主訴の痛み、激痛が解消する、圧痛点経穴灸法で選択する経穴は治療点であり、副交感神経反応を全身性に及ぼす。

⚫圧痛点経穴灸法により患部や全身の血流が改善し体がポカポカしてくる、体温が上昇し冷えが解消する、体温は治癒力と結び付いている。

⚫カゼをひかなくなる、体温上昇により免疫力が高まる

⚫ 痛みは不安、恐れを生み大きなストレスとなり交感神経緊張により血流障害を誘導し治癒力を抑制する。痛みが解消することを実感すると患者のストレスは解消する。

⚫治療がすすむにつれ圧痛点(治癒反応のあらわれ)の数、部位、圧痛反応の低下、さらに痛みの再発がなくなるため患者は病気からの回復を実感できる。

上記の反応、変化は膠原病、自己免疫疾患に関わらずあらゆる痛み、症状、病気に共通していることから圧痛点経穴灸法は体に備わる自然治癒力を高める医療と言えそうである。

「知熱灸による痛みの解消は即効性があり、体温上昇も伴う」

「発熱は自然治癒力の本体、治癒反応を高める知熱灸の威力」

「知熱灸で痛みを解消すると病気は治る」

 

参考文献

膠原病や自己免疫疾患は全身性(SLE)や局所性の炎症で、発赤、発疹、発熱、かゆみ、痛みなどが伴う、これらの組織反応や症状形成にはプロスタグランジン、アセチルコリン、ヒスタミン、セロトニン、などの多くの因子が関与しているが副交感神経反射による「血流障害からの回復反応」と理解する必要がある。しもやけや潰瘍を治癒させるためにはやはり、血流障害からの回復が必要であり、治癒の過程で発赤、発熱、かゆみ、痛み、関与する因子群もプロスタグランジン以下ほとんど同じである。

(自律神経と免疫の法則—安保徹)

SLE(全身の血管炎・全身性エリテマトーデス)
全身性エリテマトーデスSLE(全身性紅斑性狼瘡)とは抗核抗体を中心とした自己抗体ができて起こる疾患です、抗核抗体は核が抗原となります。

核は全身にあるので全身の細胞が攻撃対象になります。線維細胞や血管内皮細胞が攻撃されて戦い炎症を起こすのです。SLEは最初は紫外線によって核が変性して自己抗原になり病気が全身に広まってゆく形をとるのです。

SLEが一番多いのは色白の人が紫外線を浴びたときです、なぜ狼のような紅斑と呼ばれるかというと、まるで口が広がったように紫外線が一番当たるところがバタフライ様に紅くなるからです、SLEは白人に多いです、日本人でもSLEになるのは色が白い人です、色が黒いとメラニン色素で紫外線をブロックできますが、色が白いと直接紫外線の作用で細胞や核が壊れるのです、そして隔離抗原がリンパ球にさらされます。(隔離抗原がでるのは細胞を構成する成分からです、なかでも多いのは核やその成分からです)SLEは紫外線以外でも風邪をこじらせると起こります、ウイルスも細胞を壊します。あとは夜更かしが原因です、夜遅くまで起きていることは大変なストレスなので、細胞が壊れます、特に徹夜でアルバイトをすると、細胞が壊れて病気になりやすいのです。

自己免疫疾患で代表的なものはSLEです。SLEは圧倒的に女性に多いです。SLEははっきりと女性優位現象(female predominance)です。

女性は刺激に過敏なので発症数が多いのです。過敏かどうかはその人のリンパ球の数で決まります。SLEは過敏な人が紫外線、ウイルス、夜更かしなどのストレスを受けて発症するのです。SLEはoverlap症候群の形をとることが多いです。SLEは全身にある抗原と反応するので、関節が腫れるRAや唾液がでないシェーグレン、糸球体腎炎などの自己免疫疾患が全身にoverlapして出てくることが多いのです。

(安保徹の免疫学講義より抜粋)

 

自己免疫疾患における免疫学的状態
Immunologic States of Autoimmune Diseases
immunologic  research 33/ 23-34,2005
Toru Abo