生体反応と圧痛点経穴灸アレコレ

  • 圧痛点経穴灸法の適応疾患について

関節リウマチ、へバーデン結節、手根管症候群、脳血管障害による片麻痺、ガン性疼痛、脊柱管狭窄症(頚椎、腰椎)、坐骨神経痛、頭痛、肩こり、五十肩、腰痛、など多様な痛み、しびれ

副鼻腔炎、眼瞼下垂、消化器系疾患(食道、胃)、喘息、せき、花粉症、頻尿、めまい、など

  • 圧痛点経穴灸の始まり

背中に重い荷物を背負ったような状態で20年近く経っているという50代の女性が見えた。
胃下垂、慢性胃炎、12指腸潰瘍、耳鳴り、頭痛、坐骨神経痛、冷え、疲れやすい、イライラ、皮膚のトラブルなど複数の痛みや病気、症状を抱えていた。

坐骨神経痛の施術から始まった。
痛みで歩けなくなる状態が、圧痛点と経穴により痛みとともに歩行障害も解消した、

経穴へのお灸により蠕動運動が盛んになり胃の調子が極めてよくなることを逐一報告してくれた。
蠕動運動とは腸管の消化作用の基本であり、消化液の分泌とも連動し副交感神経刺激により亢進する。
血管拡張も同調し、リラックスする全身反応であることを未来免疫学で学んでいたため、副交感神経、お灸の働き、経穴の反応が手に取るように理解できた。
「自律神経と免疫の法則」が実感できた経験であった。

リウマチの激痛から、神経痛、片麻痺 あらゆる痛み、症状が全て同じ手法により回復する。
それらを全て圧痛点のマップとしてまとめ、圧痛点経穴灸の基本が出来上がった。

「自律神経と免疫の法則」とこの患者さんに出会わなければ圧痛点経穴灸は生まれなかったことは確かだし、お灸を続けられていたかどうかもわからない。

多様な痛みを確実に解消できる「あつくないお灸」による鎮痛法の誕生という実感があった。

圧痛点経穴灸により病名の違い、多様な痛みへの鎮痛効果をくり返し経験した。

圧痛点の記録はHPに圧痛点分布図として掲載しています。

圧痛点の分布図により患部を具体的に明らかにし、目に見えるお灸法の実際が出来上がってきた。
あらゆる痛み、症状、病気は圧痛点により患部を特定する。患部とは血流障害の部位である。
病名、症状ではなく圧痛点の現れる部位により経穴を選択する圧痛点経穴灸

あつくないお灸を3壮程繰り返す
小さな 「もぐさ」であり煙が少ない

新人の鍼灸師でも経穴の選択に迷いなく、確実に効果を上げられる。

鎮痛作用の即効性が高い

患者の満足度が高い

施術時間が短い

  • お灸法の種類と膿(うみ)の正体

鍼灸学校で学ぶ鍼灸理論には灸術には、有痕灸(透熱灸、焦灼灸、打膿灸)と無痕灸(隔物灸、温灸)の2種類があると解説しています。
有痕灸とは膿が出るお灸法です。膿とは細菌と戦った顆粒球(白血球の仲間)の死骸が膿の正体です。

顆粒球は細菌が関わると化膿性(ウミを作る)の炎症を起こします。
もう一つ、ストレスのみでも顆粒球が増え、顆粒球自身の寿命(2〜3日)を終えるとき、活性酸素を大量に放出するために組織障害を起こすという発見です。
潰瘍などの発症のメカニズムです。

  • あつくないお灸の全身反応と局所反応

お灸や鍼は経穴を選択し刺激を加えることで自律神経を揺さぶる。
いずれも副交感神経反射により血管拡張が誘導される。圧通点による臨床経験を重ねるうちに特定の経穴には多様な痛みから複数の症状や疾患にも適応する事実から、経穴反応には全身反応と局所反応があることに気がついた。

  • 耐えられない痛み、重い痛み

知覚神経は交感神経で抑えられ、副交感神経優位で促進(激痛)される。

(興奮状態では痛みを感じないがリラックスすると激痛になる)

【体験記】

先日はしごを使い枝切り中に背中から地面に落ちた、落ちた直後は異和感や痛みはあったが体は動かせた。20分ほど横になり一休みした後は死ぬほどの激痛に襲われ、全く動けなくなった。落下というショックは極度の交感神経緊張状態のため痛みは抑制されていた。
休んだことで体は副交感神経優位となり、知覚神経の神経伝達物質の分泌が促進され激痛が始まったのです。
救急車で病院へ運ばれる事態になった。

知覚神経は交感神経で抑制され、副交感神経で促進する事実を身をもって体験しました。

  • 圧痛点は経穴の先生

腰、肩、背中、足と痛みを抱えて患者さんが見えます。しかしその痛みは腰や肩のどこにあるかはわかりません。
痛みの起こる患部は圧痛点によって明らかになリます。
圧痛点が選択できれば経穴が決まります。即効性のある鎮痛効果で楽になります。
圧痛点経穴灸の威力

  • 圧痛点は経穴の案内係り

圧痛点が多数現れることがありますが選択する経穴は常に1点

圧痛点の選択部位により経穴が決まります。
あつくないお灸2〜3壮により圧痛点が解消し、痛みも解消します。

  • 急性と慢性 圧痛点の変化

急性痛では圧痛点は少ないですが、痛みが慢性化すると圧痛点は複数部位に広がります。
急性時の血流障害は局所、慢性化すると血流障害は全身に広がります。

  • 圧痛点は患部

患者が痛みを訴えるとき、その痛みが体のどこにあるかを明らかにする、それが圧痛点です。
圧痛点は患部を明らかにします。患部とは血流障害の部位を表します。

  • 癒反応と血流促進は友達

血流障害が起こるとき部位、臓器、器官に関わりなく患部では治癒反応として血流増加が始まり、痛みや腫れ、発熱を伴います。私たちの体に起こる治癒反応です

  • 新人の鍼灸師とお灸法

鍼灸施術の臨床において効果が現れない時、ベテランの鍼灸師は対応経穴を持っていますが新人の鍼灸師はそれがありません。圧痛点経穴灸は新人でも経穴の選択に迷うことがないお灸法です。

  • 認知症は怖くない

脳内は場所により機能の違いがはっきりしています。これを脳の機能局在と呼びます。

大脳の中の前頭前野は人間だけが特別に発達した部位で、考える力、他者と上手にコミュニケーションする力、記憶する力、想像する力、やる気を出したり、自ら何かをしようという気持ちを起こすなどの働きです。
人間を人間として形作っているのが前頭前野です。脳の血流が促進された、ではなく、脳のどの部位の血流が促進されたかが重要なのだといいます。
脳の前頭前野の血流が改善されると認知症は防げる、改善することを明らかにし、実践したのは川島隆太 東北大学教授です。

  • 前頭前野の血流改善は温熱刺激が一番

【前頭前野の血流改善と経穴の関係を明らかにした田中忠蔵先生の報告】
経穴への鍼、透熱灸、温熱刺激を比較し、血流促進効果は温熱刺激が最も高いことを報告しています。

全日本鍼灸学会雑誌2009年5月号

  • NK細胞を増やすだけ

【灸施術によりNK細胞が多数発現することを明らかにした報告】

東家一雄先生が全日本鍼灸学会雑誌に発表されました。2002年2月号

NK細胞はがん細胞を攻撃することで知られています。1975年日本とアメリカ、スェーデンで同時に発見されました。東家先生のお灸は透熱灸か知熱灸かは記述されていませんが答えは透熱灸です。
なぜならNK細胞は交感神経刺激で増えるからです。

  • あたたかなお灸はがん細胞の殺し屋

NK細胞は高齢になるに従い増えてくる理由は交感神経優位の体調になるためですが、がん細胞を殺すパーフォリンの分泌作用は抑えられます。分泌作用は副交感神経で亢進するからです。

あたたかなお灸刺激は副交感神経誘発しパーフォリンの分泌を進めます。
つまりがん細胞を殺す働きです。副交感神経を刺激するあつくないお灸が重要な役割をすることになります。

  • 一穴灸法

腰痛のための経穴は多数あります。
腰痛は様々な原因で起こります、動作とともに現れる痛み、ストレスが原因で起こる痛みもあります。
ベテラン鍼灸師はそれぞれ治療効果の高い経穴を持っていますが新人の鍼灸師はそれがありません。

どのような腰痛(あらゆる痛み)でも一穴で施術ができる、効果が高い圧痛点経穴灸

  • 圧痛点が多い

慢性病を抱える方、片マヒの方は多数の圧痛点が現れます。両者とも血流障害が全身に及ぶためです。

  • 圧痛点の変化と効果

圧痛点の減少は施術効果の指標にもなります。
何より患者の体調が良くなる、患部や体が温かくなる、最終的には全ての圧痛点が解消します

  • 痛み、発熱、腫れは一体

圧痛点はあらゆる痛み、症状に伴い現れます(圧痛点は血流障害部位、患部)。
痛み、症状には血流障害という共通性があります。
血流障害からの治癒反応として痛み、腫れ、発熱が伴います。

  • 圧痛点と個性

同じ病気でも圧痛点の現れ方は一人一人異なります。
だから圧痛点の選択が大切です。
同じ痛みでも圧痛点の現れ方は一人一人異なります。
それゆえ圧痛点の選択が重要です。

  • 体の痛みは全て同じ                                                          

圧痛点経穴灸は圧痛点が決まれば経穴が決まるお灸法です。
経穴の選択に迷うことがなく、多様な痛み、症状に適応します。

生体に起こる痛み、病気は部位がどこであれ同じ仕組みで起こります。

  • お灸と時代

お灸は時代とともに変化する

現代は重労働から解放され、生活環境は整い、豊かな食生活に支えられ、体調は副交感神経優位の社会です。
つまり弱い刺激、あつくないお灸に人気が集まる理由です。

ひと昔前は重労働、粗末な食生活、劣悪な生活環境が当たり前の社会であり交感神経優位、刺激に強い体調のため、熱いお灸も受け入れられた時代だったのです。

  • 痛みと天気

慢性痛を抱えると天気の変化により痛みが増すことがあります。
天気が崩れる低気圧が近づくと膝痛が悪化したり、関節リウマチの痛みが強くなるなど、低気圧は体調を副交感神経優位(知覚過敏)にさせるために痛みが強く出るようになります。

高気圧(酸素が多い)や低気圧(酸素が少ない)は空気中の酸素濃度が変わるため、私たちの自律神経レベルを揺さぶり、痛みが変化するのです。

  • 姿勢と施術効果

鍼灸の刺激はいずれも副交感神経反射(治癒反射)を誘導し治療実績をあげます。
施術姿勢は施術効果を促進する大切な要素です。 

ベッドに横になる姿勢は重力から解放されリラックッスする副交感神経優位で、治癒反応が高まる姿勢です。

深呼吸をすると、血圧も下がります、深呼吸は副交感神経反射を誘導し血圧を下げます、自律神経の働きは無意識に反応するのですが呼吸だけは意識的に調節が可能なのです。

  • ガムとリラックス

呼吸は普段意識することはありませんが意識してすることもできます。
無意識の世界と意識の世界をつなぐことができる動作です。
噛む行為も副交感神経支配ですからリラックスさせる効果があります。
アメリカの野球選手がガムを噛んでいますが、筋肉を緊張させた状態が続くと動きがこわばり瞬発的な動作ができません。ガムを噛んで緊張を解きほぐしているのです。行儀が悪いのではありません。

  • 圧痛点は鎮痛効果のガイド役

痛みは訴えるけれど痛みがどこにあるか患者さんはわかりません。

膝の周り、膝の内側、外側、表か裏か、膝を伸ばす動作か曲げる動作か、痛みの原因などを確認し圧痛点を選択します。なんとなく圧痛点では痛みは解消しません。
改善すべき血流障害の部位が特定できないからです。

  • サインは圧痛点

患者の訴える痛みや症状から圧痛点を選択します、痛みや症状のある部位に圧痛点は現れます。
圧痛点とは血流障害の部位を知らせてくれるサインです。

  • 圧痛点は治癒反応

圧痛点を選択中にしばしば蠕動運動が起こります。
蠕動運動とは胃腸の消化活動で、同時に消化液の分泌も亢進します。
副交感神経反射が誘発されるからです。副交感神経により治癒反応は亢進します。

  • 経穴の決め手は圧痛点(病名や症状からではありません)

圧痛点の選択(小さな点の印をつける)の次は経穴の選択です。
圧痛点の多寡ではなく、また病名でもありません。

圧痛点の現れる部位、手足、腹部か背部、腰部、臀部、頭部、頸部など圧痛点の現れる部位に応じて経穴を選択します。異なる部位の痛み、病気でも同じ経穴を選択することはしばしば起こります。

  • 患者も効果を確認できる経穴1点のお灸法

選択する経穴が1点という圧痛点経穴灸は新人の鍼灸師が臨床に即適応できます。
また鎮痛効果の即効性も高く、患者さんもその経穴の効果を確認できるということも大切な要素です。

  • 冷えと治癒反応

痛みを訴えて見える患者さんの中には、手指足指の冷たい方がいます。

圧痛点の選択途中に温かくなる方もいますしなかなか改善しない方もいます。
治癒反応が起こりにくい理由は、その方が低体温になっている場合です。
熱なくしては必要な代謝亢進が起こらないので治癒は遷延します。
子供は発熱反応が高いので大人より治癒が早く進む傾向がります。

低体温は冷えと言い換えることもできます。
冷えは二つの原因で引き起こされます。働きすぎや、ストレスで起こる交感神経緊張状態と運動不足、甘いものの取りすぎなどで誘発される副交感神経優位状態です。

  • 経穴の新しい活用法

圧痛点が多数現れていても選択する経穴は1点、異なる痛み、症状、病気でも圧痛点の状態により経穴を選択するため、同一の経穴を選択することがしばしば起こります。圧痛点経穴灸の大きな特徴です。

こうした経穴の働きに気がついたのは、圧痛点の分布図を記録し続けたことが最大の要因だと思う。
異なる部位の圧痛点が、また異なる病気や症状とともに現れる圧痛点が同じ経穴により解消してゆく事実は圧痛点記録がなければ気づくことはなかった。

  • 圧痛点は患部

圧痛点の選択(分布図)は診断するのではなく、血流障害の部位つまり患部(治癒反応が起きている部位)を明らかにすることです。
患部の血流が十分回復すれば痛みや症状、病気は回復する仕組みは恒温動物の特徴です。
血流回復は体温を高めることにもつながり発熱は代謝を亢進させます。
あらゆる痛み、病気の治癒反応はこうして促進されます。

  • 体に起こる痛みと共通性

プロスタグランジンは痛み、血管拡張、発熱をもたらす組織ホルモンです。

プロスタグランジンを最も多く分泌するのはマクロファージです。
マクロファージは名前を変えていますが全身に存在します、痛みの部位は異なっても同じ仕組みで痛みは起こります

  • 気圧と痛み

昔から低気圧が来ると喘息の発作が出たり、古傷が痛んだり、慢性の膝痛が強く出たり リウマチの患者さんの関節の痛みが強くなると言われてきました。低気圧では副交感神経優位の体調となり知覚過敏になるためです。

  • 興奮状態と唾液分泌、口が乾く

私たちはゆったりしたり、ものを食べたりリラックスすると唾液が出ますが、興奮(怒り、不安)すると喉がカラカラになります。

大勢の人の前で話をするとき体は交感神経緊張になると全ての分泌現象が抑制されます。
喉が渇き 唾液が出なくなり、尿が出なくなる理由です。

  • 痛みの出方

副交感神経の刺激が細胞に入ると神経伝達物質の分泌は亢進するので知覚過敏となり激しい痛みを感じるようになります。
逆にストレスや過緊張状態では交感神経優位となり知覚神経の働きは抑えられ痛みは抑えられます。

【副交感神経と知覚神経の関係を実体験したお話】

折りたたみ式のはしごで枝切り中、はしごが真ん中から折れて背中から地面に叩きつけられた。当初はショックのあまり痛みより異和感の方が強かったのだが、横になり一休みした直後から全身の激痛が始まり、人生で初めて救急車を依頼し病院に運ばれた。

  • 施術中の患者さんの反応

患者さんの中には施術の実際は見えなくとも、圧痛点が解消し、痛みがなくなることに気がつき、腕にお灸をするとお腹の痛みが、背中の痛みが取れるのですねとお灸効果を実感する患者さんがいます。直後効果が高い証拠です。

  • 圧痛点が決める経穴

病名、部位は異なっても痛みを訴えるとき必ず圧痛点が現れます。
圧痛点とは患部の血流障害や組織障害部位、患部に現れます。

同じ病名でも圧痛点のあらわれ方は一人一人異なります。圧痛点の現れる部位により経穴1点を選択するため、経穴の選択に迷うことはありません。

異なる病気、痛みであっても圧痛点の現れる部位が同じであれば同じ経穴を選択します。

  • 東洋医学と病気

東洋医学は病気の原因を七情として、怒、喜、思、憂、悲、恐、驚をあげています。

現代に敷衍すればほとんどがストレスが病の原因と見ていました。
喜もまた病気の原因としていることが素晴らしいところだと思います。
喜は副交感神経優位の状態、楽な生活を続けていると気力が生まれず病気になることがあります。
何事もほどほどが健康の秘訣です。

  • 圧痛点と血流障害の関係

血流障害がなければ圧痛点は現れません、痛みの出る部位を指端により軽い圧をかけることで痛みが起こるそれが圧痛点です。

痛みや症状が起こる原因は筋疲労、筋力低下、同じ姿勢、ストレス、冷え、ケガ、などが始まりでいずれも交感神経緊張状態となり血流障害(顆粒球増多)が始まります。
いずれの場合も必ず治癒反応が始まり、血流の回復とともに筋肉や関節、骨に痛みが出ます。

  • 宇宙飛行士は骨粗鬆症のスーパーマン?

宇宙飛行士の山本直子さんが講演で無重力状態では骨粗鬆症の患者さんより10倍の速さで骨密度が低下すると報告しています。

カルシュウムは骨の材料ですがその材料を骨にしっかりとつけるためにはビタミンDや運動による骨への負荷が欠かせません。ビタミンDは日光に当たれば体内で生成できます。
問題は運動です。運動が必要なのは骨に負荷がかかって初めて骨にカルシュウムがつくからです。
長期滞在の宇宙飛行士が地球に戻ってくると必ず骨がもろくなっている話は有名です。宇宙空間という無重力の環境のため骨に負荷がかからないためです。

  • 圧痛点は通信簿

圧痛点には小さな印をつけます圧痛点分布図をHPに掲載しています。
患部や血流障害部位を明らかにすると同時に、経穴一点への施灸後の圧痛点の鎮痛効果を確認するサインにもなります。患者さんも鎮痛効果の確認ができます。

  • 興奮すると痛みを感じない

テニスの試合など試合中は興奮していて痛みに気づきません。
交感神経優位だと知覚鈍磨になるからです。
興奮すると神経伝達はブロックされます。
試合後に痛みに気づく理由は、緊張やストレスから解放され副交感神経優位となり知覚が過敏となるためです。

  • 小さな刺激が全身反応を起こす

圧痛点の選択やあつくないお灸を始めるとグルグルとお腹が鳴り出す人がいます。
ぐる音とは腸管の蠕動運動です。蠕動運動は食事や休息の時、副交感神経優位の体調の時に起こります。
圧痛点の刺激や小さなもぐさの温熱刺激が全身反応である蠕動運動を起こす。

  • イライラからの回復

慢性病や慢性痛を抱えていると、イライラし、怒りやすくなります。
体は常に交感神経優位に傾き、リラックスできず、ゆとりも生まれません。

圧痛点や温かなお灸の刺激により痛みや症状が改善回復すると同時にイライラも無くなります。
血流回復は痛みの解消、症状の回復に直結するからです。自律神経はここでもその威力を発揮します。

  • 怒りや悩みと知覚神経

怒りや悩みを抱えるとリンパ球は減少し、顆粒球が増加します。
喉が乾く、インスリンの分泌は止まり。アドレナリンが出て血糖値が上昇し、血圧が上がり、脈も早くなり知覚神経はブロックされ周りが見えなくなります。

  • 体が温かいのは血液中に含まれる熱エネルギー 

痛みとともに手指、前腕が冷え切った患者さんがいます、圧痛点を選択中に手指が温まってくることも、また灸施術とともに温まってくる方もいます、圧痛刺激もお灸による温熱刺激も副交感神経刺激により血行が促進され熱エネルギーが冷えた患部に届くからです。

●体温、ミトコンドリア、代謝

人間は恒温動物です、体の中では安定した代謝が常時行われています。
常時活動が可能な理由です、ミトコンドリア系の代謝により産生されたエネルギーは血液を介して全身に運ばれ各細胞に分配されます。
私たちの体が触ると温かいのは血液に含まれる熱を感じるからです。

  • 痛みと笑顔

痛みを抱えていると、笑顔を忘れます。
痛みはストレスです、交感神経が優位な体調のため生活にゆとりがなくなります。
圧痛点経穴灸は直後に鎮痛が起こるため、患者に笑顔が戻り、饒舌になります。
笑顔・饒舌は副交感神経の体調です。

  • 歩行姿勢と鼻呼吸

姿勢が悪く猫背になると外呼吸が妨げられます。
老人でも病人でも外呼吸が抑制されていることが多いのです。姿勢には気をつけましょう。
胸いっぱいに空気を吸うことは肺の組織を萎縮から守ることです。
一日2〜3回は鼻呼吸をして胸を完全に広げる努力が必要で同時に肺の空気を極限まで吐き出しましょう。
古い空気の置換が進みます。ミトコンドリアに働いてもらうための思いやりです。
立ち上がり歩き始めると前かがみになるという高齢者はハムストリングの痛みを取ることで姿勢矯正ができます。

  • 本当の話

私たち人間は恒温動物です。体の中では常に安定した代謝が常時行われています。
それゆえ低体温にさらされた時には代謝が抑制されて活動も抑制されます。
多くの病人は体が冷えています。

顔色が悪い 手足が冷たいなどの症状があります。
代謝エネルギーが低下するその影響は疲れやすくなり横になるという体調です。
立ち仕事や夜更かしが重力対応の時間を増やすことにつながり体の負担になりやすいのです。
体を温める、体を動かして代謝をあげることもそれ以上に大切です。
体を動かさずに健康を維持することは困難です。

  • ストレスと低体温

ストレスで低体温になる理由はストレスが交感神経を緊張させるからです。
血管が収縮し血流が悪くなり熱エネルギーの巡りが悪くなるからです。
ストレス(緊張、不安、イライラなど)過労、痛みも交感神経を緊張させ心拍数も上がります。
ストレスが短期間であれば体のバランスは崩れることがありません。
ストレスが長期に続く状態が低体温を作り、病気の原因になるということです。

  • 経穴への刺激は血管を拡張し血行を促します

血液循環を調節しているのは自律神経です。
血管拡張は副交感神経が調節し、ストレスや疲労などで血流が悪くなる血管収縮は交感神経の働きです。
いずれも無意識のうちに、刺激に応じて血流を調節しています。

体の隅々にエネルギーや栄養素、酸素を届け老廃物や炭酸ガスを受け取り体外に排泄するまでの役割も血液の働きです。鍼灸師が選択する経穴は血行を良くする刺激ポイントで、全身に分布しています。

  • 健康長寿は足から

高齢になり、特に歩けなくなると老化は進む、自力で歩く努力をするとボケも防げる、歩けることは生きる活力のもとになります。

歩くという動作は自らが足を動かさなければ維持できない。
自分流で良いから軽い運動で足(下半身)に負荷をかけて動かしていれば自力で歩けるようになります。
転ばなくなります。健康長寿は足から

  • 痛みと老化とボケ

痛みが長引けば紛れもなく大きなストレスとなり、血流障害は全身に及び老化を進めます。
痛みにより日常生活もままならなくなると(動けない生活)今度はボケへの危険が高まります。
高齢者の痛みは速やかに解消が一番です。

  • 老化とは

人間は年齢を重ねるとともに、老廃物の酸化物質により交感神経緊張状態に偏ってゆき顆粒球増多型へと変化してゆく、その状態が極限までいって一生を終える。
年齢とともに血圧は高くなり脈も早くなるのはある程度当然のことなのです。
皮膚にできるシミは血流障害により老廃物が皮膚に溜まったものです。
この老廃物が体のあちこちに溜まる状態が老化です。

髪に栄養を供給する血管に血流障害が起きメラニン色素を作れなくなると髪が白くなる、脳の血流が悪くなれば認知症の危険が高まる、生体内の酸化物が便秘などで体内に長期にわたり溜まってしまうと老化の進行は早まります。

血行をよくするよう心がければ老化の歩みは遅くなるしシミも消える可能性があります。
顔色が良い人は老化が遅くいつまでも若い。

  • 圧痛点経穴灸の鎮痛効果と速さ

時々気になることがある、圧痛点経穴灸の鎮痛効果の速さというか即効性である。
圧痛点の選択後のお灸(あつくない刺激)がもたらす鎮痛効果にびっくりする。
この現象を裏づける記述を見つけた。

「内分泌(ホルモン系)の働きは自律神経系の調節下にあり、自律神経系の反応は内分泌系の反応よりも素早い、ストレスに対する反応の速さも同様である」

ストレスは内分泌系を介さずに自律神経系の働き単独でも免疫抑制状態を作ることを知っておく必要がある。
自律神経の働きを無視してストレス反応を論じることはできない。

  • 大きなショック下では痛みを感じない

興奮状態では知覚は鈍麻するからです。
交感神経感優位になり知覚神経が抑制されるためです、リラックスすると体は副交感神経優位になり知覚神経の分泌亢進により痛みが始まります。

  • マクロファージとプロスタグランジン(痛みの本質)

痛みをもたらす物質の主役はプロスタグランジンで痛みの他血管拡張(血流増進)発熱と3つの働きをする組織ホルモンです。
鎮痛解熱剤の解説書にはプロスタグランジンの分泌を抑制する働きと書かれています。
プロスタグランジンの最大の分泌物質がマクロファージ、マクロファージは全身に存在します。
圧痛点経穴灸があらゆる痛みに適応する理由です。

  • 関節の痛みと体の動きと圧痛点

関節は体の動きを調節しています。
関節に痛みやしびれ、冷えがあると、動きはぎこちなくなります。関節への血流が悪くなるためです。
圧痛点の選択は患部と同時に動きを調節する遠位の筋肉の働きにも注意を向ける必要があります。

  • へバーデン結節、手根管症候群、バネ指、関節は血流障害が起こりやすい

へバーデン結節は手指の第一関節が変形する、女性に多い疾患として知られています。
関節は血流障害が起こりやすく、始まりは関節部位の違和感、動きの悪さ、痛みです。

手指の痺れ、手先の触覚の鈍麻、紙がつかめない、つかむべき対象を見ないとつかめないなどの症状の手根管症候群、バネ指、いずれも圧痛点経穴灸の効果が高い疾患です。
関節周りの圧痛点、関節を動かす筋肉の特定と圧痛点の選択が大切です。

  • ストレスは万病の元 

「抹消であれ、中枢であれ自律神経系に強烈な、あるいは弱くても持続的な刺激が作用すると病的な自律神経反射を起こし、血流障害や平滑筋の緊張や運動の異常による器質的病変を惹起する、内臓諸臓器の変化は非特異的であり、加わる刺激の種類には無関係である」レイリー現象の定義

強すぎたり、弱くても持続的なストレスを受けると自律神経反応は臓器の部位種類にかかわらず血流障害や組織障害の病変を引き起こす。

  • お灸による血流増加スピードは鍼の2倍早い

日本経済新聞2005年10月10日の記事

東京都老人総合研究所の内田さえ主任研究員らはラットに針や灸を据え、脳の血流の変化を調べた。
ほおに1分間鍼を打ち続けたところ、脳の血流は1〜2割増えた、鍼を打つ部位を手足に変えてもほぼ同じ結果になった。灸だと30秒で脳の血流が1〜2割改善した。
いずれもアセチルコリンの分泌が亢進したと報告しています。

鍼灸の刺激が起こす自律神経反応はお灸が針の倍の速さで起こる。
お灸による鎮痛作用は鍼の倍早いということを証明しています。

  • 圧痛点は現場

「事件は会議室ではなく現場で起きている」とはテレビドラマのセリフです。

事件は会議室では解決しないということです。
現場とは患部のことです。患部の血流回復でしか痛みや症状は解決しません。
新しい患者さんが見えると、まず圧痛点を探します。リウマチや神経痛はもちろん、あらゆる症状についても圧痛点を探します。痛みのない症状でも圧痛点は現れます。
圧痛点は血流障害の部位を示してくれるからです。

  • 体温、新陳代謝、酵素、血液循環 自律神

私たちは多細胞生物として多様な細胞により構成されるため、各細胞がバラバラに働かぬように常に活動時と休息時の体調に合わせるために自律神経が働きます。
また恒温動物として体内体温を37度に保つことで常時活動が可能になり、一定の体温が保たれることで新陳代謝も酵素の働きも亢進する極めて精密な構造が人体です。

  • 経穴の全身反応と圧痛点経穴灸

全身反応を誘発する経穴と穏やかな温熱刺激のお灸の組み合わせが、複数部位や全身に現れる圧痛点を解消します。

  • 高齢者の眼瞼下垂、まぶたが下がる

眼瞼下垂や瞼のふるえの回復に一番大切なのは患部へ血液を送ることです。
瞼や前頭部の血流を良くするために首を回す、顔の筋肉を動かし、あるいは耳への刺激、口を動かすなどである、血管を広げたり狭めたりするのは自律神経反応によるので自分の意思では制御できません。

圧痛点により患部を選択し患部から離れた経穴へのあつくない灸により瞼の下りが直後に改善します。

  • 90歳でもシワが消えるお灸

先日眼瞼下垂の施術を終えた90歳の女性の患者さんが、ニコニコしながらこのお灸を始めてから額のシワが消えました、見てくださいという。

瞼の動きを調節している筋肉の中でも前頭筋は額や頭部まで広範囲に及ぶ。
額や頭部の血行が良くなると新陳代謝が亢進し皮膚に艶が出たり張りが出てくる瞼の下垂が治るとともに額のシワも消えた理由である。

患者さんが報告してくれなければ気づかない、治癒反応である副交感神経の働きを高めるお灸の発見である。

  • 皮膚と胃腸は兄弟

寒くなると毎年右手甲側 中指の中手指節関節頭の皮膚がカサカサになり荒れてくるという患者の話から進化についての解説が蘇った。

「単細胞生物から多細胞生物に進化した時最初にできたのが皮膚と腸管である」

皮膚は直接外界に触れ、腸管も食べ物を取り込むことで外界とじかに接している。
皮膚病は胃腸の働きを改善することで治ることに気がついた。

  • 高齢者の痛みはすぐ解消せよ

部位がどこであれ高齢者が痛みを抱えると、歩くという意欲を失わせます。
痛みが解消すれば歩く意欲が出てボケない体調を維持できます。

歩くという行為は健康長寿の基本であり自らの努力でしか獲得できません。

  • ふるえと痛みと冷え(体温低下は強いストレスから)

ハシゴから転落した、事故直後は違和感がある程度だったが一休み後、激痛とともに寒さで全身が震えてきた。
急性のストレスがとても強い場合には血管収縮が激しく体温が低下し、震えがくる、震えは体の冷えを回復する治癒反応であるという指摘を実感した。

●参考文献 斜文字部分 安保徹の免疫学講義